オリジナル伴奏CD作成奮闘記
貴志清一
私は月に1回お世話になっていますグループホームへボランティア演奏に行きます。この活動はかれこれ2年も続いていまして、ある時はギター伴奏者に頼んだりお正月ですとお琴の師匠に出ていただいたりしていますが、やはり主流は伴奏CDでの演奏です。
ちょうど同じくボランティア活動で尺八を演奏されていますT氏からお便りを頂戴しました。
「・・・・(本曲・三曲合奏のほかに)わたくしは演歌・唱歌を演奏しますがほとんど一尺八寸管で吹いています。その際の伴奏CDが欲しいのですがネット上の音源等を流用するのは、特にボランティア演奏などで勝手に使うのははばかられます。できますれば一尺八寸管用のオリジナルの伴奏CDを作っていただければと思っております。」
自分の用意した伴奏音源も少々貯まってきましたので一つのCDにしてみようと思いました。忙しい時など、自分用としても重宝しますのでとりあえず17曲収録してみました。T氏に進呈するということで参考演奏もあればと自分の吹いたCDも作ってみました。
ピッチは尺八で一番使いやすそうなA=440にしましたが、フルートとちがって頭部管をスライドさせるわけにいかず、室温が25度を越えると上ずります。だいたいA=440で吹ける気温を設定するのに少々手こずりました。
また、機械で作製した伴奏ですので気持ち悪いほど機械的な平均律の音程を吹いている時に聴かされます。本来、西洋音階ではハ長調のドレミファソラシでいえば「ミ・ラ・シ」は低い目にとってきれいなハーモニーにします。またアコースティックな生伴奏ですと音程に揺らぎがあります。しかし、チューナーを常に鳴らしているような機械的なピッチではこちらの気が休まりません。この半音=2の12乗根の不自然さにも奮闘せざるを得ませんでした。
次は自分自身の演奏能力です。往年の村岡実先生のような名手ですと苦労しないのですが、なにせ趣味が昂じた自分ですので滑らかに演奏するということにも奮闘しなければなりません。
音源は録りためてあったのですが、参考演奏は今回すべて吹きました。全部で17曲です。そして
適材適所ということで使用管は音色の良い玉水銘地塗り七孔管です。
01.北国の春 F
02.さくら B♭(森山直太朗)
03.蛍の光 C
04.おぼろ月夜 F
05.川の流れのように F
06.浜辺の歌 C
07.知床旅情 C
08.琵琶湖周航の歌 B♭
09.風 F
10.赤とんぼ C
11.荒城の月 Gm
12.ふるさと C
13.悲しい酒 Gm
14.竹田の子守歌 F
15.船頭小唄 Gm
16.港町ブルース F
17.おやじの海 F
楽譜は自分で尺八譜を作るべきなのですが、これは奮闘を諦めました。それで手元の汚れた五線譜に琴古流のロツレチを付して許していただくことにしました。
私なりに奮闘して作成した「参考演奏CD付き・オリジナル伴奏CD」ですのでさっそく昨日T氏にお送りいたしました。
喜んでいただけると私も嬉しいのですが、さあどうでしょうか。
最後に、一例として09番の「風」、私が学生時代によく歌った懐かしい曲の参考演奏と伴奏をお聴きください。
因みに、この資料は尺八吹奏研究会の会員さんには紹介しようと思っています。(