先日、「新春初弾き会」(邦楽研究会・ぐるーぷ遊戯の会)がありました。「新春初弾き会」(邦楽研究会・ぐるーぷ遊戯の会)に参加して ペンネーム:音羽
尺八本曲は「鶴の巣籠」「三谷菅垣」「三谷」そして合奏曲は「れんげ草と 蜜蜂」」「初鶯」「惜別の舞」「雲井獅子」「新内流し~滝流し」「春の海」 「夕月」「明鏡」と約2時間、普段のお稽古から今回は初弾きということで新 春らしい演奏が繰り広げられました。
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さて今回、私も本曲「三谷」と合奏「惜別の舞」を吹かせていただきましたが、人前での演奏で緊張のあまり、あがってしまい、特に合奏では思うように 吹けないまま終わってしまいました。
今までにも、人前での演奏は数回あったのですが、今回は極度の緊張で、音が出ないため、リズムも狂ってしまい、せっかく、熱心にご指導いただいていたお箏と尺八の先生には申し訳ない結果で終わってしまいました。しかし、それが今の自分の現実であると受けとめ、 また次回に向けてと思っております。
ところで、現在私は62歳です。尺八吹奏研究会レッスン生として5年と4ケ月目になります。
私のように、以前に楽器経験も無く、ある程度歳を重ねてから尺八を始めた方々と思いを共有できればと、今回の号を書くことにしました。
まず、レッスンのときは、毎回必ず「音出し練習」からです。「尺八吹奏法Ⅱ」の30ページのところです。
音色を確認しながら、ゆっくりと、腹から音を出していく。
おかげで最近なんとか「腹で支える」の意味がわかり、圧をかけていくと、特に乙ロについて、響くポイントが逃げずに鳴って響いてくれると気持ちのいいものであると感じます。
「お腹の膨らみを持って」というのは、お腹の真後ろの背中にも膨らみがあるということと感じます。
これがないと先生からは「空虚な音」と指摘されます。
私はこの「腹で支える」が少しできるようになったのが最近です。
若さと才能があれば、もっと短期間で上記のことは獲得できるかもしれません。
次にいつも気になるのが唇の形です。
ある日、どうも下唇が邪魔しているのか、音が小さくしか鳴らない、また鳴っても気持ちよく吹けず吹き疲れる状態になってしまったことがあります。
それで先生から「下唇も上唇同様に横に引っ 張らず、唇に丸みを持たせて、但し上唇の口腔前庭に空気をためようとかは考えずに」と指導をもらい、何回か試しているとだんだん気持ちよく鳴ってくれました。
私はどうやらいつのまにか下唇を横に引っ張っていたようです。
その後、音色もよくなってきたように思えます。
とはいえ、口の形は人それぞれ違いますし、自分の唇でも日によって違うものですから「唇に根がはえる」まで吹くことなのでしょう。
先生からは「口腔前庭」(「尺八吹奏法Ⅱ」P13~14)を言われますが、うまくそのスポットにも空気がいっているときは、音を押して吹きつけていけることはわかるのですが、まだ私は自分のものにはなっていません。
ただ、圧をかけて押していくと、その返しで鼻腔下あたりの腔内も共鳴して広がる感じになるような気がします。
この「口腔前庭」のことは、ケーナ奏者の大木岩夫さんの「アンデスの笛 ケーナの本 -作り方と吹き方-」P34~36にもあります。
尺八を習う前に、少しだけケーナを吹いていたことがあったのですが、ネットでD#管ケーナを注文をしたとき、大木さん自ら、直接電話下さったこともありました。
この本のことを先生にお話したとき、先生は大木さんと「口腔前庭」の談義を二人でされていたことも知り、びっくりしましたが、納得もしました。
話は前後しますが、私は1年半ほど前に尺八を変えました。河野玉水さんにお願いしました。
以前の管は中級管でしたが一応有名管でした。どこが違うかというと、「玉水」管は唇の形を変えなくても乙ロがなんなく鳴るのです。
その上、圧をかけていけば、それに応えて返してくれること。正直なところ、今までの苦労、悩みは何だったんだろうと感じました。
(先生には言ってなかったのですが、それまでは、まだ、この中級管より、プラ管「悠」の方が吹きやすかったほどです。)
正直なところ、その中級管は乙ロを鳴らすときは唇を工夫しなければ鳴りにくい竹です。
また、この中級管は尺八の歌口と表4孔がまっすぐにはなっていませんでした。
ときどき、この中級管にも息を通すのですが、今は以前よりよく鳴ります。それは「玉水」管を吹いているからだと思います。
先生も他の号で書かれていたように、たしかに楽器選びも大切だと体験しました。
ところで、今でも、もっと若いときから習っておけばと思うことがあります。
ある日、合奏の練習後、お箏の先生のお弟子さんとたまたま帰る方向が一緒でしたので、「なかなか指が動きません」と言いますと「練習すれば、歳をとってからでも動いてきますよ。頑張りなさい。私は若い頃にお箏を弾いていました。その後長い間弾いていなかったのですが、今の先生の素晴らしい箏音の魅力にすっかりひかれ、即、門を叩き、今で10年ほどです。」と話していただきました。私にとっては、とても励みになりました。
さて、今までに習った曲は「三谷菅垣」「下り葉」『夕暮れの曲」「霧海ジ」「手向」「三谷」です。(合奏曲は「千鳥の曲」「雲井獅子」『六段の調」です。
これだけでも、私にとっては十分楽しんでいます。(それ以外に気に入った歌謡曲や演歌などを吹いていることはありますが)
もし、十分な基礎練習もないままで、習う曲だけがどんどん進んでいたら、そのうち興味も薄れ、多分やめていたかもしれません。
一つの曲をへたでもいいから、以前吹いたときより、少しでも豊かに吹ける楽しみがあれば、途中であきらめることはないでしょう。
だから、私にとっては、この5年間の基礎練習は、とても楽しいものでした。
これからもそうでしょう。
これもひとえに、吹奏楽研究会、ぐるーぷ遊戯の会の先生、先輩方のおかげと心よりありがたく感謝しています。
あと何年吹けるかわかりませんが、尺八を楽しんでいきたいと考えています。
まだまだ未熟な段階で吹いた曲を載せるのは、正直とても恥ずかしいのですが、同世代で私と同じような時期から始められた方の参考になればと
あえてつたないまま掲載しましたのでご了承ください。また、ご意見、ご指導をいただければ幸いです。
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音源ファイル---> 「三谷」