会報 No.65
滝廉太郎と尺八
貴志 清一
滝廉太郎は有名な「荒城の月」や「花」の作曲者として広く世に知られています。
滝廉太郎は日本近代音楽史上で作曲家と呼ぶことのできる最初の人であるといえます。
日本の伝統音階を用いた「荒城の月」、西洋音階のオーソドックスな手法による合唱曲「花」は芸術音楽のあり方をしめすものとして、彼のすぐれた天分を物語ってます。
ただ天は彼に年を仮さず、その大成を見ることができなかったことはたいへん惜しいことです。
彼の声楽曲を見れば、いかに後の山田耕筰の“旋律は日本語のアクセントに従う”という理論が馬鹿げたものであるかが知れます。
(特に私は関西出身ですので、そう思います。)
さて、滝廉太郎は生まれてから父親の官の仕事の関係で転居を繰り返しましたが、彼が高等小学校時代は大分県の竹田に住んでいましたので「竹田時代」と称します。
竹田の町の東に岡城があり、ここに上れば南に阿蘇の山々を望み、祖母の連山が連なっているようです。
私も機会があれば一度訪ねてみたいと思っています。
有名な「荒城の月」はこの岡城をイメージして作曲したようです。 この岡城が荒城の月の元かどうかは別段どちらでも良いのですが、確かに滝廉太郎はこの竹田で尺八をよく吹いたということが、案外知られていません。 私は尺八を嗜むものですから、あの明治の時代に「花」や「荒城の月」を作曲できた天才が少年時代尺八を吹いたことに、親しみを感じます。
荒城の月は伝統音階(都節)に沿っているのは、やはり尺八を嗜んだこととまったく無関係ではないと思うのです。
そのことは、大分市府内町69番地、滝廉太郎終焉の地に建てられた銅像の碑文に詳しく記されていますので、紹介いたします。
(吉川弘文館 人物叢書「滝廉太郎」 17ページ)
同窓の友滝廉太郎を偲ぶ
人生は短し 芸術は長し
滝君とは竹田高等小学校の同窓であった。……(中略)……
追憶は次から次へと蘇へる。
学校の式場でオルガンの弾奏を許されていたのも君、
裏山で尺八を吹いて全校の生徒を感激させたのも君、
それは稲葉川の川瀬に和した忘れることのできない韻律であった。
そして八年後には一世を画した名曲、「四季」「箱根の山」「荒城の月」、不朽の名を留めたことなど美しい思いでの中に楽しく(銅像制作の)仕事を終わった。
昭和二十五年八月十五日 朝倉文夫識
今自分は五十七年前の童心に立ちかへり、幽懐つくるところを知らず。
君をつくれば 笛の音や 将に月を呼ぶ
この笛はここでは尺八でしょう。
一度、このようなことも考えながら「荒城の月」を尺八で吹いてみるのもいいかと思います。
【お知らせ】
今回の文でも取り上げました滝廉太郎の「荒城の月」をギターと尺八で私自身の変奏曲も入れて5,6分の曲にしました。
この曲を下記の演奏会で吹奏いたします。
ご来場ご希望の方はお申し込み下さい。
(万一、満席の場合はご容赦下さい。)
尺八吹奏研究会 第3回
尺八&ギター演奏会
出演 尺八:貴志 清一 ギター:大脇健五
日時 :2001年3月11日(日)午後2時開演
場所 :愛ランドハウス
(泉南郡田尻歴史館0724-65-0045)
−曲目−
(第1部)尺八独奏&ギター独奏
「三谷菅垣」(尺八)
「手向」 (〃)
「禁じられた遊び」(ギター)
「アルハンブラの思いで」(〃)
「鹿の遠音(単管)」(尺八)
(第2部)ギターと尺八の調べ
コンドルは飛んでゆく
荒城の月
おぼろ月
影をしたいて 等
○入場料700円(会場準備の都合で、当日券はありません。)
※6才以下のお子様のご入場は固くお断りいたします。
チケット取り扱い:
「第3回演奏会希望」と希望枚数をハガキに明記しご投函下さい。
折り返し入場券を送付いたします。
(平成13年1月より3月3日まで受付)
代金は当日、受付でご精算下さい。
※万一、満席の場合はご容赦下さいませ。
〒590ー0531 大阪府泉南市岡田2ー190
尺八吹奏研究会 貴志清一 迄。
○お願い
尺八吹奏研究会の趣旨によりまして、本演奏会へのお祝い等は堅くご辞退申し上げます。
○交通のご案内
会場は駐車場が有りませんので電車等にてお越しください。
南海本線 難波〜急行和歌山市行または関空行き〜
泉佐野下車〜(乗換え)普通和歌山市行またはみさき公園行〜吉見ノ里(2駅目)下車、徒歩8分