尺八吹奏研究会メニューに戻る

「秋の演奏会で学んだこと(アンコール曲音源付) 貴志清一

2025年11月3日、泉佐野市有形文化財新川家におきまして秋の演奏会が実施されました。
 少々肌寒い天気でしたが、二十数人の参加者をお迎えして尺八・琴を聴いていただきました。

 内容は、尺八本曲では、

「夕暮の曲」
 長管のDさんの演奏。夕暮れの様子,情感を尺八ならではの音色で表現しました。

「鹿の遠音」。
これは琴古流秘曲の難曲ですが教室生のO氏と私の連管で秋の鹿の鳴き合う情景を表現することができました。

「三谷」。
 演奏の後で司会の方から思わず「もう少し聴いていたいような感じですよね」というお褒めのコメントがありました。
演奏された教室生は必死に吹いていたのでしょうが、透明感のある地無しの響きに会場が包まれた雰囲気でした。

「下り葉の曲」。
私の演奏

琴独奏「風にきけ」。
 箏のSさんは地元では名手として有名なお師匠さんですが、西洋音楽の語法や表現も習得したいということで私の合奏教室生のお一人です。

「江差追分」「花笠音頭」
 私自身、かなり前に民謡の先生と1年間いっしょにいろいろなところで民謡を吹かせて頂いたことがあり、今回のN氏は民謡2曲の演奏をされました。

「リンゴ追分」
 Mさんの演奏ですが、本曲の他にこういう歌の曲も私の元で練習されて居ます。

「キビタキの森」。
箏 Sさん 尺八 私 の演奏

第2部は 朗読・尺八・琴・十七絃による

 『もちもちの木』 (宮田耕八朗作曲)でした。
 大人が聴いても、なにか心が洗われる気がする曲でした。
 余技とは思われない素晴らしい語りのIさんと名手の十七絃 Mさんに入っていただき、
 演奏時間15分が夢のように過ぎました。両氏には感謝の一言です。

 ここですべてのプログラムは終了なのですが、せめて皆さんのよく知っている曲「夜明けのスキャット」をアンコールとして演奏しました。

 会場の皆様にはずっと聞き続けるという受け身の音楽会でしたがせめて最後は声をだしていただこうということで、
 この曲を選びました。歌詞を知らなくても「ル~~~」と歌える曲です。もちろん2番の歌詞をご存じの方にはそのまま歌っていただきました。

◆◆音源: 「夜明けのスキャット」

 十七絃がベースをとり、お琴が分散和音で始まり尺八がメロディーをなぞります。
 ここで不思議な体験をしました。なんと尺八の音色が「声」に聞こえ、歌の「ル~~」が楽器のような音色なのです。

 尺八は人声に近いということは知っていましたが、ここまで近いとは思いませんでした。思いがけない発見をした有意義な演奏会でした。

 以前の記事で『日本人の脳』を紹介しましたが、この中で特に「日本語話者だけが邦楽器(尺八など)の音を言語脳で処理する、
 即ち、人の声のように聴く」ということの証明でしょうか。

 さて、数えるほどしかいない私の教室生ですが、みなさんそれなりに一生懸命努力のあとが窺えてよかったです。