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四国尺八遍路パート2 香川編   土井通有

○第12日 2023年10月8日(日) くもりのち雨
 さて最終日、私はまだ一カ所の札所が残っています。それは別格20番大滝寺です。
この札所は別格の中でも最難関の寺で、普通に行くともう一泊を余分に要します。
ただ阿讃山脈の縦走路を行くと、6.7キロほどになって短くなります。
ただし道が険しくロープの張ってある急な登りもあり、やはり難関です。
私は1日で登りたいのでこの道を行くことにしました。
 朝は、宿の八十窪を6:35に出発。宿の女将が車で登り口の中山にある金刀比羅宮の神社前まで送ってくださいました。
また昼食のおにぎりのお接待も受けました。
さらに大きなザックの荷物は、天体望遠鏡博物館のある産直に運んで預けておいてくれるそうです。
何から何まで有り難いことです。感謝、感謝。
  
  (写真① 登り口の金刀比羅宮) 

 
 登山道は、神社の裏手から山道に取り付きます(6:50)。
早速少し登り口がよく分からず迷いました。
なんとかの尾根への山道を見つけて登っていきました。
虎ロープが張ってある急坂を何カ所か登り、やっとのことで尾根に出ました。
道標は所々にあり、「遍路道」や「登山道」と書いた札があります。
しかし道標がいつもあるわけでなく探しながら行きます。
登っていくと、大相山のピークにたどり着きました。さらに進むと次第に下りになりました。
少し不安になりながらも道を探して歩き、やがて人家が見えてきました。これはどうやら道を間違えたようです。
今から考えると道しるべの「登山道」の札は大相山に行く道で、どこかで遍路道を見失ったようです。やはり道に迷ったようです。
途中にあった人家に寄っても不在で、道を聞くわけにもいかず、仕方なくiパッドでグーグルマップを見て愕然としました。
大きく道を外れ、さぬき温泉のダム湖の辺りにいました。何ということだ。
 仕方なく林道を登り直し、大滝寺を目指すことにしました。相当の回り道です。
ダム湖の辺をウォーキングする人に道を尋ねながら、つづら折れの道を行きました(9:45)。
 ここまで約3時間、さらに1時間40分ほど登り、やっと大滝寺へのメドが立つ道に出ました。
15分ほどで大滝寺のお堂が見えてきました。ほっとして張り詰めていた気持ちがやっと緩みました。
ことに、迷っていることを知らずにむやみに山道を下ってしまった。そのことに大きく反省をしました。
とにかく本堂と大師堂でお経をあげ、大師堂にある納経所で御朱印をいただきました。   
 別格第20番大滝寺(福大山 慈眼院 本尊:西照大権現)到着(11:38)。
ここまで登り口の金刀比羅宮から約4時間30分、予想以上にかかりました。
アップダウンを考えると山に2度登ったに等しい行程でした。因みに大滝寺は標高940mあります。
このお寺の開基は、行基菩薩で弘法大師が42歳のおり西照大権現の護尊像を安置し、法華経を一石毎に書き男女厄流しの秘法を修されました。 
  
   (写真② 大滝寺山門) 


  (写真③ 大滝寺本堂)


 納経所で住職さんに下山の相談をしました。とにかく産直に荷物を預けているので戻らなくてはなりません。
阿讃山脈の尾根道を戻るのは少し時間的にも余裕がなく、また道に迷うことがあればそれは命取りです。
そこで、さぬき温泉に戻りタクシーを雇い産直に送ってもらうことにしようと考えて相談しました。
しかしそれはかえって遠回りになり、タクシーをたくさん乗ることになるとのこと。
そこで塩江町の方に下りた方が道も分かりやすく、交通量も少ないとのことです。
そして下りたところに町があるのでタクシーも呼びやすい、そこで私はその道を行くことにしました。  
 教えられた道を1時間ほど下るとキャンプ場がありました。久々に人の住んでいるところに出ました。
道は広くなり、やがて雨が降り出し、1時間ほど歩いて廃校になった小学校に着きました。
雨宿りをしてタクシーに電話をしました。車は8分ほどで到着。産直まで送ってもらうようにお願いしました。
そして午後3時前、産直に到着しました。
 先ほど産直に八十窪の女将が来て、私がまだ着いていないことを知り心配しておられたそうでした。
私はすぐ折り返し電話を入れ、無事を告げ、お礼を言いました。また産直のどぶろくをお接待してくださった方にもお礼を述べました。
しかもタクシー運転手さんは、ここまでの運賃の端数(600円ほど)をお接待してくださいました。
なにかとみなさんにお世話になり大感謝です。
 産直前でコミュニティバスに乗り、50分ほどで高速バスの乗り場に到着しました。
この頃には雨はさらに強く降り、高速のバス停まで少し濡れながら歩きました。
待合所で30分ほど待ち、大阪行きの高速バスに無事に乗車できました。
大阪難波には午後8時半に到着。電車を乗り継ぎ南大阪の自宅に無事たどり着きました。
 これにて四国八十八カ所と別格二十カ所の全ての札所を廻り、結願することができました。
遍路途中ご一緒させていただいた多くの方に感謝し、御礼を申し上げます。
総じてこの旅は「一期一会」の出会いがあり、また人と人の繋がりを感じる遍路旅でした。

  「ありがとうございました。」

 歩行距離:30.1キロメートル   所要時間:9時間30分