四国尺八遍路パート2 香川編⑨ 土井通有
○第9日 2023年10月5日(木) くもりのち晴れ
旅館「えびすや」には藤川旅館で同宿し、善通寺で別れたT氏が泊まっておりました。
また埼玉の女性とオランダからのお遍路さん(Ha)が同宿でした。
T氏とは善通寺でもう一緒になることはないでしょうと別れたのですが、なんともご縁があるようです。
オランダのHaさんは世界中を旅しているようで、今回も3ヶ月の予定で日本と韓国を巡るようです。
日本は物価が安いと言っていました。やはり円安ですね。埼玉の女性は、今回が4回目のお遍路だそうで、宿泊所の情報が豊富でした。
夜の食事では旅のこと遍路のことなどで花が咲きました。Haさんとは食事後、部屋に場所を変えてビールを酌み交わしました。
彼は高松から瀬戸内海の直島へフェリーで渡り、草間彌生の立体作品(南瓜など)を見るそうです。
彼は、82歳ですが大変元気です。また、Tさんも81歳でこの方も元気に歩いています。私も見習いたいものです。
朝、6時30分五色台にある5つの峰にある札所に向かいます。
まず道は直登で標高は300mほどの山ですが平野にすっくと立つ山ですので登りはかなりの急な坂です。
尾根に上がると自動車道路もあり、ゆっくり巡ることができます。少し登ると先に行ったHaさんに追いつきました。
一緒に写真を撮り、展望台で休憩しました。彼は早くはないですが着実です。
2時間ほどで、第八十一番白峯寺(綾松山 洞林院 本尊:千手観世音菩薩)に到着。
五色台の白峯山にあり、智証大師が創建しました。讃岐に流された崇徳上皇は都に帰ることなくここで亡くなります。
祟りを恐れ代々の天皇は怖れ崇め奉ります。そして陵墓はこの寺のすぐ近くにあります。寺にはゆかりの勅使門や頓証寺殿などがあり、後小松天皇の「頓証寺」の勅額は重要文化財である。なにせ今もなお崇徳上皇は史上最強の怨霊といわれているのです。
(写真① 白峯寺本堂(重文))
(写真② 頓証寺殿(重文))
ここで、崇徳上皇に思いをはせ、旅の安全を祈願して尺八を吹奏しました。写真は、Haさんに撮影してもらいました。
(写真③ 勅額門の前で尺八吹奏)
白峯寺を出て、山道を根香寺に向けて歩きます。アップダウンを繰り返し、十九丁のところに無人のお接待処がありました。
この所は小児がんで逝った幼い子の「いのち」への願いを込めて設置されています。手を合わせ、その思いをくんでお接待を受けました。
(ペットボトルの飲み物をいただきました。)
第八十二番根香寺(青峰山 千手院 本尊:千手観世音菩薩)に到着(10:26)。
五色台の主峰、青峯山にあり、弘法大師によって開基されました。そして智証大師によって千手観音像が彫造されました。
五色台とは青峯、黄峯、赤峯、白峯、黒峯の五峯をいいます。この寺でも尺八を吹奏して次の別格香西寺に向かいました。
山門を出たところでHaさんに再び会いました。少し遠回りをしたようです。入り口の山門を教えて別れました。
(写真④ 根香寺本堂)
納経所で次の香西寺への道を聞いてから向かいました。道は概ね整備されていて歩きやすいですが、道標がほとんどありません。
そして急な下り坂です。降りていくとため池が見えてきました。そのふちをまわり車道に降りて歩きました。
しばらく行くと交通量のある道に出ました。道端で香西寺の道筋を聞くとまだかなり先のようです。
さて教えられたように行くと山門が見えてきました。別格19番香西寺(宝幢山 地蔵院 本尊:延命地蔵菩薩)に到着(12:32)。
奈良時代の行基により開創され、弘法大師が再建して現在の地に移しました。毘沙門天立像は重要文化財です。
さて正午をまわり暑くなってきました。しかも少し道を間違えて遠回りをしたので少々疲れてしまいました。
そこで門前にてゆっくり休憩をとることにしました。
(写真⑤ 香西寺本堂)
香西寺の納経所で次の一宮寺への分かりやすい道筋を教えていただきました。そこでその通りを行くことにしました。
道すがらうどん屋があり、丁度良いので昼食をとることにしました。
ここは香川にはよくあるセルフ形式の店でトッピングはもちろん、うどんを湯がくのも自分でします。教わりながら自前の一杯をいただきました。
ここ数日の昼食はいつもうどんです。慣れもあり、案外お腹がいっぱいになります。
1時間ほどで香東川に架かる橋に着き、そこから川沿いのサイクリングロードにおりて南に向かいます。
風はあるのですが、日差しがきつい。1時間半ほど歩いて香東大橋に着きました。県道へ上がり東に向かってしばらく歩きます。
さてさて、延々と歩いた川沿いの道は景色も変わらず、かなり疲れてしまいました。
第八十三番一宮寺(神毫山 大宝院 本尊:聖観世音菩薩)に到着(15:50)。
創建は古く仏教伝来の160年後とされています。
大同年間、弘法大師が聖観音を彫造して伽藍を再興し、この時に真言宗に改宗されましした。
東隣には讃岐国一宮の田村神社があります。神社とは高松藩主によって神仏分離されました。
さてさてベンチで休んでいるHaさんに再開しました。彼はこれからさらに歩き栗林公園の近くのビジネスホテルに泊まるそうです。
あと5キロほどあります。頑張りますね。ちなみに直島に行かないか誘われましたが、お断りしました。
すると彼は少し残念そうな顔をしていました。(悪いことをしたような気分に)
(写真⑥ 一宮寺の鐘楼)
さて私の今日の宿は、近くにある「天然温泉きららの宿」です。昨日一緒になった埼玉の方に聞いていたところです。
天然温泉と宿は別棟なので静かな環境にあります。ランドリーもあり、部屋も和室で広いものでした。
食事は温泉のレストランで久しぶりにハンバーグを食べました。満足しました。
食事をしていると先ほどの埼玉の方が来て、同じく食事をとりました。その後、情報交換をして部屋に戻りました。
歩行距離:29.8キロメートル 所要時間:9時間50分