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四国尺八遍路パート2 香川編④   土井通有

○第5日 2023年10月1日(日) 雨のち晴れ(強い雨)
 二泊した白地荘は、お遍路の便宜を図り雲辺寺の登山口まで車で送ってもらえます。
お接待とはいえ有り難いことです。今日は朝から雨もようで、明け方にはかなりの量の降りかたでした。
雲辺寺の登山口に着いた頃には小雨になっていました。さてカッパを着て山道(登り約4キロ)に取り付きます。途中は木が生い茂っているため雨の影響が少ないので、カッパによる蒸れを避けるため脱ぐことにしました。1時間ほど登ると雲辺寺に向かう林道に出ました。
 さらに歩くこと40分、第六十六番雲辺寺(巨鼇山(きょごうざん) 千手院 本尊:千手観世音菩薩)に到着しました。 

 (写真① 雨中の雲辺寺本堂)

 
 雨は次第の激しくなり、再びカッパを着ることにしました。この寺は四国霊場のうち最も標高が高い(911m)ところあります。
やはりここも「遍路ころがし」と呼ばれる難所です。また「四国高野」とも呼ばれ、阿波藩主・蜂須賀公の手厚い保護を受けていました。
 さて納経所でスペインの女性と同行の日本人男性の二人組に会いました。
彼らは大興寺に向かって急な山道を下り、さらに進み観音寺から本山寺まで(約23キロ)行くそうです。
かなりの健脚です。私は、観音寺まで行くことします。
 雨あしが激しくなる中、お経をあげ御朱印をいただいて、ロープウエイにて下山することにしました。
麓のロープウェイ駅までの山道の状態に不安があること、そして別格の萩原寺に参拝する予定もあり、時間を短縮することにしたのです。
 麓駅に着くと雨は小降りになり、晴れ間も見えてきました。
途中で地元の女性に道案内していただきながら約1時間(9:50)ほどで別格16番萩原寺(巨鼇山(きょごうざん) 地蔵院 本尊:地蔵菩薩)に到着しました。
開山は弘法大師です。また秋の頃は境内にたくさんの萩が咲き誇ります。
  
  (写真② 萩原寺社務所と萩の花)


 さて萩原寺を出て大興寺に向かいます。ここは観音寺市と三豊市の境にあり、それに少し道がわかりにいくいのです。
地図を頼りに1時間半歩きました。
 第六十七番大興寺(小松尾山 不動光院 本尊:薬師如来)に到着。地元ではこの寺を山号にちなんで「小松尾寺」と呼び親しまれています。
また道しるべにもそうあります。
写真の道しるべには(右こまつおじ すぐこんぴら道 左かんおんじ)と記されています。

  (写真③ 遍路道沿いにある江戸期の大興寺への道しるべ) 
 
  (写真④ 大興寺山門) 

 
 お寺では雲辺寺で出会ったスペイン女性に再会、急な山道をねぎらいました。
いつものように読経して御朱印をいただき、そして今日最初の尺八を吹奏しました。
さて昼食のパンを食べようとベンチに座ると、隣に座っていたお遍路さんが宿泊所を探しているようです。
雲辺寺からの歩きで、どちらに泊まるのか尋ねると、観音寺あたりということなのです。そこで私が泊まる予定の「藤川旅館」を紹介しました。
ただし、素泊まりになることを伝えると、しばらくして予約ができたようです。(さてこの方、以前どこかで会ったような気がする。)
 大興寺を午後1時前に出発し、観音寺市街を目指し田園地帯を歩きます。
午後2時50分到着。
 第六十八番神恵院(七宝山 神恵院 本尊:阿弥陀如来) 
 第六十九番観音寺(七宝山 観音寺 本尊:聖観世音菩薩)  
2つの札所は、琴弾公園の近くにあって、同じ境内にあるため一度に納経ができます。少し得した気分になります。
 神恵院は「琴弾八幡宮」の神宮寺として建てられました。明治の神仏分離令で琴弾神社と神恵院に分離されました。
観音寺は、開基や創建の時期は神恵院と同じである。弘法大師が琴弾八幡宮の本地仏の阿弥陀如来像を納め、
奈良の興福寺に倣って七堂伽藍を建立して七宝を埋めて地鎮しました。
本堂は金堂とも呼ばれ、朱塗りの柱が鮮やかである。重要文化財に指定されています。
そして、宿も近くということで、ゆっくりと尺八を吹くことができました。

  (写真⑤ 神恵院大師堂)

  (写真⑥ 観音寺本堂、朱塗りの柱)


 ここで、大興寺で宿を紹介した彼に会い、夕食は近くのスーパーマルナカで調達すると良いと話し合いました。
宿について洗濯をしていると、先ほどの彼が「土井さん」と呼びかけます。やはり以前に会っていました。
それは昨年10月の遍路旅の時に室戸から須崎までを同じような行程で歩いていた大阪のTさんなのです。
なんと奇遇なこと、まさに一期一会(一期二会?)でしょうか。
 さて宿は昔ながらの旅館ですがリフォームされて、使いやすくなっていました。
食事があればもっと良かったのですが。(後日に分かったのですがこの宿の夕食は「猪鍋」が定番だそうです。
今日は都合により素泊まりだけなのです。ちょっと残念) 

    (写真⑦ 藤川旅館の前にて)


 歩行距離:26.6キロメートル  所要時間:6時間