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四国尺八遍路パート2 愛媛編⑪            土井通有
○第8日 2023年5月30日(火) 雨
 「旅館小松」で朝食をいただき、準備をしていると雨が強く降り出しました。
少し小降りになるまで待とうか考えていましたが、いっこうにその気配がありません。
今日は最終日、伊予西条から夕方の高速バスで帰阪する予定です。
しかし雨あしが変わらないので、意を決し昨日残した香園寺に向かうことにしました。
約1.5キロを街道にそって30分ほど歩き、第六十一番香園寺(栴檀山 教王院 本尊:大日如来)に到着しました。
香園寺は、コンクリート造りの大きな本堂があり、その本尊のあるお堂の中に入ることができます。
さてご本尊の前でいつものように読経し、おなじ堂内の大師像にもお経をあげました。
外を見るとさらに雨が激しく降り、視界も白くなっていました。そこでしばらく本堂の椅子にかけて休むことにしました。
 香園寺は、聖徳太子の開基で四国霊場屈指の古刹です。弘法大師が訪れたとき、門前で身重の婦人が苦しんでいたので、
栴檀(せんだん)の香を焚いて加持・祈祷すると婦人は無事に男子を出産したそうです。
以来、安産・子育ての信仰を集めているのです。現在、創始した「子安講」が寺の隆盛に寄与しているようです。 
 
     (写真① 香園寺本尊大日如来)


 堂内と本尊はめずらしく撮影が許可されていました。しばらく待ったのですが雨はいっこうに衰える様子もなく降り続きます。
仕方なく本堂を出て納経所に向かい、御朱印をいただきました。
 お寺を出て1.4キロほど歩いて、次の第六十二番宝寿寺(天養山 観音院 本尊:十一面観世音菩薩)に到着しました。
この寺、往時は伊予三島水軍の菩提寺として、また大山祇(おおやまづみ)神社の別当寺として栄えていました。
江戸期に真念の建てた石碑が境内にあり、また明治期の中務茂兵衛が254度目の遍路をした道標が山門の脇にあります。 
 
   (写真② 前回訪れたときに開帳された宝寿寺の十一面観世音菩薩)


 ここからさらに1.5キロで次の吉祥寺があります。
ここは伊予氷見駅が近くにあるので、ここから早めに列車で西条に行こうかと思いました。
とにかく上下カッパを着ていますが靴を含めもうびしょびしょです。
 さてなんとかたどりつき参拝し、御朱印もいただきました。
第六十三番吉祥寺(密教山 胎蔵院 本尊:毘沙門天)弘法大師が巡教した折り、光を放つ檜を見つけ、
一帯に霊気が満ちているのを感得して、この霊木で毘沙門天を彫造して安置し、堂宇を建立して開創しました。
「第62番と63番の札所の写真は前回参拝の写真を使用します。今回は大雨で撮影する余裕がありませんでした。」
 
  (写真③ 前回の吉祥寺山門にて)


 さて、伊予氷見駅に行く道筋を納経所で聞いて行ってみると、向こうに見えた駅にはすでに電車が来ており、
結局その列車に乗ることができませんでした。駅の時刻表を見ると2時間余り後の11時39分までありません。
ここは小さな駅で待合室も雨にさらされ、これでは体が冷え風邪をひいてしまいます。
 そこでさらに次の札所3.4キロあまり先、第六十四番前神寺(石鉄山 金色院 本尊:阿弥陀如来)に行くことにしました。
このお寺近くの石鎚駅から西条駅に向かうことにしました。さて1時間もあれば前神寺に着くはずです。
道には川のように雨水が流れるのをよけながら急ぎました。
 山岳信仰の山として崇拝されている石鎚山麓の霊場で、真言宗石鉄派の総本山である。また修験の根本道場でもある。
開創は天武天皇の時代、役行者が石鎚山で修行したおり、衆生を救済するため釈迦如来と阿弥陀如来が石鉄権現となって現れたのを感得して、
尊像を彫って安置したのがはじまりです。
桓武天皇の時に勅願寺となり、現在の称号が下賜されました。よって歴代天皇の信仰も厚かった。
しかし明治の廃仏毀釈で廃寺となり、その後明治22年に復興されました。
毎年7月1日に「お山開き」があり白衣姿の信徒が集まり、法螺貝の音に「なんまいだ」を唱和する。
  
  (写真④ 前神寺大師堂)

  (写真⑤ 石鎚神社の大鳥居) 


 前神寺から15分ほどで石鎚駅に到着。ここの駅には待合室もあり、雨もこの頃小降りになって一息つきました。
さて、現在10時50分、電車は11時42分発、まだ1時間ほどあります。高速バスは、16時35分に西条駅前発、待ち時間がけっこうあります。
そこでこのバスをキャンセルし、一本早い14時5分発の高速バスに変更することにしました。
iパッドを操作すると、運良く空席があり、キャンセル料100円で変更することができました。
 列車は石鎚駅から一駅先の伊予西条駅まで乗り、12時前に着いて駅前の食堂(夜は居酒屋)で定食をいただきました。
そして濡れた衣服を着替えてバスを待つことにしました。やがて高速バスが定刻に到着し、荷物をトランクに預けて車上の人になりました。
大阪の梅田のバスターミナルには19時過ぎに到着、予定より早く帰宅することができました。
今回も、山あり谷ありの四国88カ所巡拝でした。秋頃に続きを参拝したいものです。
 歩行距離:8.5キロメートル    所要時間:3時間余り