四国尺八遍路パート2 愛媛編⑨ 土井通有
○第6日 2023年5月28日(日) くもり
ますや旅館の朝、夕食は豪華な食事をご主人に作っていただきました。しかし、なぜか朝食は作れないとのこと。
よって買っておいたパンを食べて、早めの出発となりました。今日も長距離になりそうなので早出がよさそうです。
一時間ほど歩いて今治市内の延命寺を目指します。国道196号を歩き、街並みに入ったところで細い道を左折、
第五十三番延命寺(近見山 宝鐘院 本尊:不動明王)には7時過ぎには到着しました。
養老4年聖武天皇の勅願により、行基菩薩が不動明王を彫造して本尊としました。
昔は、山号どおりの近見山(標高244m)一帯に七堂伽藍、谷々に100坊を数えました。
その後弘法大師が信仰と学問の中心道場として再興しました。
(尺八音源:「三谷」抜粋) ♪♪
(写真① 延命寺で尺八吹奏)
いつもの作法で本堂にて蝋燭と線香をあげ、鰐口を突き、納め札とお賽銭をあげてから読経します。
お経は開経偈、懺悔文、般若心経などを唱え、本堂では本尊の真言(梵語)を3度唱えます。
ここの本尊不動明王の真言は少し長いので丁寧に唱えました。
また大師堂では、空海の法号である「南無大師遍照金剛」と唱えます。
さて延命寺を出発して、大きな墓地を抜けて今治市街に入っていきます。
予讃線の高架下を抜け、第五十五番南光坊(別宮山 金剛院 本尊:大通智勝如来)に到着しました。
この寺、正式には光明寺金剛院南光坊といいます。
起源は古く、航海の神、総鎮守、伊予一の宮の大山祇(おおやまづみ)神社と深い関わりがあります。
明治の廃仏毀釈では大通智勝如来と脇侍の弥勒菩薩像と観音菩薩像を南光坊薬師堂に移し、
別宮大山祇神社(すぐ近くにある)と分離しました。また、境内の金比羅堂も見所になっています。
(写真② 南光坊 仁王門)
ここから今治駅前を通り、南に向かって歩き9時半過ぎに、第五十六番泰山寺(金輪山 勅王院 本尊:地蔵菩薩)に到着しました。
この地は、昔から蒼社川が氾濫し、田や家が流され人命も奪われました。
大師は村人と堤防を築き、「土砂加持」を行い、このとき延命地蔵を感得し、祈願が成就したそうです。
大師はこの地に「不忘の松」を植えて地蔵菩薩を本尊としました。
寺を出て東に行くと、蒼社川の堤防に行き着きます。その昔、渇水期には川を歩いて渡ったそうです。
もちろん現在は南に橋が架かっています。
(写真③ 泰山寺)
(写真④ 蒼社川の渡し)
さらに道を南に取って歩くこと45分あまり、第五十七番栄福寺(府頭山 無量寿院 本尊:阿弥陀如来)に到着しました。
この寺の縁起は、嵯峨天皇の勅願により、大師が巡教し、内海の風波と海難事故の平易を祈り、府頭山で護摩供を修法しました。
そしてここに本尊を安置して創建し、勅願寺とされました。
納経所で朱印をいただくと、次の仙遊寺への道が工事のため一部通行できなくなっているので迂回路を教えていただきました。
仙遊寺は作礼山の山頂付近にあり、約1時間の山登りです。
今日一番の坂道を登り、第五十八番仙遊寺(作礼山 千光院 本尊:千手観世音菩薩)に到着しました。
ここは高台にあり、今治の市街地や瀬戸内海に浮かぶ島々が一望できます。
創建は天智天皇の勅願により、伊予国主・越智守興公が堂宇を建立、本尊は海から上がってきた童女が
一刀三礼しながら彫ったとされる。このことにより「作礼山」が山号となりました。高台のお寺からの絶景を堪能して下山しました。
(写真⑤ 仙遊寺)
(写真⑥ 仙遊寺からの眺望 瀬戸内海の島々)
下山して、里の道を歩いていると丁度良いところでうどん屋が見つかり、時間も13時を過ぎておりお腹もすいてきました。
そこでこの店「みのりうどん」に入ることにしました。
いつもはコンビニなどで昼食をとるのですが、ここは四国、旨いうどんがあるのではと思い入りました。
中はバイキング形式で、うどんの大きさを決めてサイドメニューを選ぶのです。こしのあるうどんとおにぎりをいただきました。
思っていたとおり旨かったのです。
さて、国道を横切り、伊予富田駅近くの踏切を少し迷ましたが、それを渡って東の方に県道を行きました。
14時20分に、国分寺(金光山 最勝院 本尊:薬師瑠璃光如来)たどり着きました。ここは伊予国分寺です。
伊予の国府があったところで、往時の国分寺はここから150m東にあり、巨大な礎石の遺構があるそうです。
豪壮な七堂伽藍を構えた寺だった思われます。弘法大師が滞在し「五大尊明王」の画像を奉納しました。
又弟子の真如が「法華経」の書写を納めている。
この寺はその後、4度の戦火(藤原純友の乱・源平合戦・南北朝時代の兵火・長宗我部元親による天正の兵火)にみまわれて消失し、
本格的な復興は江戸時代後期となりました。
(写真⑦ 国分寺本堂)
今日の宿は、ホテルアジュールです。2食付きの泊まりは高いため、素泊まりにしました。
よって夕食は手前にあった道の駅で調達すべく16時頃訪れました。17時が閉店とのこと、間に合いました。
食堂のメニューを見ると鯛飯弁当(松山風の鯛の炊き込みご飯)がありました。
まだ作れるとのこと、早速注文、蒸らす時間があるので20分ほど待ってやっとできあがり、熱々を持ってホテルに向かいました。
チェックイン後部屋でシャワーを浴び、暖かいうちに弁当(丁寧に作られているので旨い)をいただきました。
このように今日の食事はけっこうグルメでした。その後地下にあるランドリーで洗濯して早めに就寝しました。
歩行距離:31.1キロメートル 所要時間:10時間23分