尺八吹奏研究会メニューに戻る

四国尺八遍路旅メニューに戻る

四国尺八遍路パート2 高知編⑫            土井通有
○第6日 2023年3月13日(月) 晴れ
 民宿田村は、遍路宿としても人気で、温かく迎えていただきました。
部屋の大きさも丁度よく、洗濯や乾燥もしやすく遍路にとってありがたい宿です。
 今日は、土佐清水に来たら是非寄っていこうと考えていた「ジョン万次郎資料館」を訪ねることにしました。
ただ足摺岬の西海岸をまわり、土佐清水の市街地をぬけてから、
小さい岬の先端にある「海の駅あしずり」まで足を伸ばさなくてはなりません。
土佐清水市街まで10キロ、さらに3キロ先きです。
今日の宿は足摺岬の付け根の久百々地区にある「民宿いさりび」です。
少しと遠回りなので宿の方に相談すると、土佐清水市街まで買い物に出るので、
車に一緒に乗っていかないかと申し出ていただきました。そこでありがたく受ける事にしました。
その時気がついたのは、同宿したジョー氏のことです。
夕食のときの話によると、彼も土佐清水までバスで行き、さらに西海岸を巡り大方町の方まで行き、
海中を見るグラスボートに乗るとのこと。そこで主人に交渉してジョーさんも一緒に乗せてもらうことになりました。
 出がけに、宿の主人が目ざとくジョーさんの背負っているリュックにウクレレがくくりつけているのを見つけ、
また私のほうは夕方に尺八を吹いていたことがわかって、そこでご主人のリクエストで二人はそれぞれ一曲を演奏することになりました。
合奏ではないのですが、私は本曲「水鏡」を吹奏し、ジョーさんは、ハワイアンを弾き語りしました。
ご主人は、スマホで動画撮影をしてくれました。とんだところでの演奏となり、恥ずかしいやら、ちょっと誇らしいやらでした。
 かくして、日米の「遍路珍道中」を行くことになりました。
ご主人は、万次郎の生家のある中浜地区に寄っていこうと提案され、ありがたく見学させていただきました。
生家は復元ですが、ジョーさんは伝統的な日本の古民家と生活に興味を持ったようです。
思わぬ交流ができてよかったと思います。
   (写真① 万次郎生家)


 結局のところご主人の好意に甘え、さらに車でジョーと私は万次郎資料館まで送っていただきました。
ジョーは大方行きのバスの時間が11時過ぎなので、二人でゆっくりと資料館を見学しました。
万次郎は、明治維新のころに英会話の書物を著しています。
例えば「今何時ですか」を「掘った芋いぢるな」と書き表し、「What time is it now?」を覚えたようです。
それをジョーさんに言うとなんと通じるのです。「ほったいもいぢるな」が「今何時ですか」と理解されるのです。
万次郎はすごいです。この資料館は、展示の表記には必ず英語が書かれていて
ジョーさんにも良く理解できたようで、大変興味を持ってもらえたようです。
  (写真② 万次郎資料館) 


(写真③ 若き万次郎の群像)


(写真④ 万次郎漂流記の展示)


 ジョー氏とはここで別れ、私は土佐清水に戻り、市街のドラックストアに寄って例のクーポンにて絆創膏を買い求めました。
ここでは、昨日民宿田村にて同宿のS氏と再会しました。彼もクーポンで買い物をしていました。
ここから二人は連れだって東海岸の以布利を目指していっしょに歩き出しました。
何かの縁なのか四方山話をしながら行きました。ここで注意しなくてはならないのは話に花を咲しすぎると道がおろそかになり、
そのあげく遍路道を間違えることがあるので注意しなくてはなりません。
以前大きく道を間違え、遠回りをしてしまいした。「そんなことは二度と繰り返したくはない。」と思い、常に地図を片手に歩きました。
 やがて以布利に着き、丁度良い具合にバス停のベンチがありましたので、昼食をとることにしました。
私たちは昨日の民宿でおにぎりの接待を受けていて、またそれはきれいな手縫い袋に入っていました。
その袋は宿のおばあさんの手作なのです。ありがたいものです。
美味しくおにぎりをいただき、今日の宿「いさりび」に向かいました。
 歩行距離:15.4キロメートル  所要時間:3時間24分