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四国尺八遍路パート2 高知編⑧            土井通有

○第10日(2022年10月13日(木)晴れ)
 今回の遍路は須崎市で打ち止めとし、須崎駅から列車で高知駅に戻り高速バスにて帰阪することにしました。
さて「民泊汐風」は浦ノ内湾を渡って横浪半島の“土佐市”にあります。
ここから宇佐大橋を渡り“須崎市”の「埋立」から出ている市営の巡航船に乗り須崎市の横浪まで、55分の船旅をします。
朝食はコンビニで買ったヨーグルトを食べて、6時45分には埋立の乗り場まで私たち同宿の3人は宿の方に車で5分ほどかけて送っていただきました。
浦ノ内湾は半島に囲まれた内海になっているので穏やかです。(午前7時10分出航)

 (写真① 内之浦湾)


 この巡航船はもともと生徒の通学の足として運行していたそうですが、今はスクールバスがあるのであまり利用されず、
現在は私たちのようなお遍路が利用することが多いのだそうです。
横浪まで5箇所ほど寄港し、深浦という港でお遍路(室戸で同宿したT氏)を乗せ、その後小学生を一人乗せて予定通り横浪港には8時に着きました。

 (写真② 浦ノ内湾巡航船と横浪港)


 4人になった遍路は連れだって須崎市を目指しました。
私たちは結構な速いペースで歩き、9時過ぎに遍路休憩所でトイレを兼ねて休憩しました。
遍路ではトイレのある休憩所は何かと助かります。やがて住友セメント工場のある須崎港に到着し、橋を渡り須崎市内に入って行きました。
ここで私は他の三人と別れ、別格第五番大善寺(本尊:弘法大師)に参るため市内中心へと向かいました。
他の人たちは土佐久礼から三十七番札所を目指して遍路します。
私は11時前には大善寺に着き、小高いところにある本堂にお参りして、旅の安全に感謝しながら最後の尺八を吹奏しました。
下の社務所にて朱印をいただいて、須崎駅に向かいました。

 (写真③ 大善寺) 


(写真④ 木陰で尺八吹奏)


 約30分ほど歩いて駅前に到着しました。(午前11時55分) JR須崎駅といっても駅前は閑散としています。
お腹もすいてきたので駅前の食堂兼喫茶店で昼食をとることにしました。こ
こ須崎は“鍋焼きラーメン”が有名で店のメニューにもあったので注文しました。
熱々の鶏がらスープに生卵が浮かぶ鍋焼きうどん風の一品です。うどんよりこってりしていて美味しかったです。

 (写真⑤ 喫茶「千秋」で鍋焼きラーメン) 


(写真⑥ 須崎駅)


 歩行距離:18キロ    所要時間:5時間10分

◯番外エピソード(失敗談)
 私は帰途につき、須崎駅より12時50分発の高知行き普通列車に乗り、座席について少しまどろんでいました。
単線なので所々で列車の対向待ちをします。30分ほどたった時、金剛杖がないことに気づきました。
慌てて戻ることを考え、次の対向待ちはどの駅か運転手に尋ねると次の駅だとわかりました。
事情を話すと親切にも須崎駅に電話してくださり、杖がないか確かめていただきました。
しかし届いてないとのこと。やっぱり戻って確かめるしかないと判断し、向かいのホームに着いた下り列車に乗りました。
40分ほどで須崎駅に戻り構内と駅前を捜しましたが、見つかりません。
ということはラーメン屋(喫茶千秋)しかないと思って行ってみると、すでに閉まっています。
入り口のガラス越しに中を見ると、“ありました!”。
そんなことしていると女性が「どうかしましたか」と尋ねるので事情を説明すると、
彼女は2軒先にある観光協会の職員だそうで「店主に連絡を取りましょうか」と言って観光協会に案内してくださいました。
もう一人の職員の方と色々と手を尽くしていただき、やっとの事で連絡が取れました。
しばらくしてラーメン屋の女将が現れて、無事に金剛杖が戻ることになりました。
“よかった、ああ・・またやってしまった。”と後悔、そして親切にしていただいた人に感謝の気持ちを言葉にして告げ、須崎駅に戻りました。
今度は特急があったので特急券を買い足して、「特急あしずり」にて高知駅に向かいました。
そして予定していた15時40分発の高速バスに乗車することができました。人の優しさに感謝してバスに乗車、帰阪しました。
 一期一会の出会いが身にしみる土佐の遍路旅でした。あらためて高知の遍路は、「修行の道場」と言われることを実感しました。