四国尺八遍路パート2 高知編③ 土井通有
○第4日(2022年10月7日 金)
民宿椎名は女将が切り盛りする家庭的な宿です。おかみさんはまさに土佐のハチキンにふさわしい人でしょう。
(ハチキンとは、しっかり者の婦人・・坂本龍馬の姉、オトメ姉さんみたいな)朝食をいただき、6時半には出発しました。
(写真①:民宿椎名)
私は同宿したTさんより少しだけ先に出発。しばらく歩くと雨が降り出し、カッパの上下を着ることにしました。
Tさんはポンチョを着てスタスタと抜いていきました。80歳とは思えない軽やかな足取りです。
もう少し歩いて行くと雨脚が強くなり、木陰でTさんがカッパの下を着ようとしていました。
靴がカッパに引っかかり履きにくそうにしていたので、(レジ袋を靴にかぶせてそのままカッパの脚に通すとスルリと着られる)
そこでレジ袋を差し上げました。
ここから一緒に歩くことになり、本降りになった雨の中、会話を交えて気を紛らわせながら、
第二十四番最御崎寺(ほつみさきじ)(室戸山 明星院 本尊:虚空蔵菩薩)に向かいました。
雨の中、空海が修行したと言われる御蔵洞(みくろどう)に到着、トイレ休憩をして室戸岬の先端から灯台のある岬の急坂をあえぎながら登り、
9時半に最御崎寺の山門に到着しました。
民宿からの距離は約11キロあります。この寺の院号である明星院の謂われは、若き空海が御蔵洞にて苦行をしていると
海の彼方から明星が空海の口に入ったと言われていることによります。
(写真②:最御崎寺)
最御崎寺は標高165mの地にあり今度は車道を海岸近くまで下り、6.7キロ先の第二十五番津照寺(しんしょうじ)(宝珠山 真言院 本尊:地蔵菩薩)に向かいました。
「本尊は別名楫取地蔵ともいわれ、山内一豊公が室戸の沖で遭難した時、僧が現れ楫をとって無事に室津にたどり着くことができたが
この時僧はいなくなり、港の津寺(津照寺)に参詣すると本尊地蔵菩薩の体が濡れていたことによりこの僧は地蔵菩薩であったことがわかた。」という伝承があります。
(写真③:津照寺山門 本堂は急坂の石段を登る)
この津照寺を降りたところには商店があり、おにぎりとお茶を買い求めて昼食とりました。
朝出がけに民宿の女将から室戸の深層水をお接待してもらいました。この水はとても味わいのある美味い水で、大事に飲みました。
次の第二十六番金剛頂寺(龍頭山 光明院 本尊:薬師如来)まで約4キロこの寺は標高145mにあり家並みの外れから急登します。
登りつめると立派な伽藍があります。霊宝殿には弘法大師唯一の遺品が重要文化財として収められています。
この寺を地元では「西寺」と呼び、津照寺の近くの道しるべの石にも「右 西寺」と刻んでいました。
そして「東寺」とは、岬の上の最御崎寺なのです。それぞれの御朱印にも西寺、東寺と書かれています。
これらの寺と津照寺と合わせて「室戸三山」と言います。
(写真④:金剛頂寺)
(写真⑤尺八吹奏)
今日は、金剛頂寺の宿坊で泊まります。ゆっくりと尺八を吹くことができました。この日は私を含めて4人が同宿しました。
男性のSさんとは2日目の東洋町に入った頃から一緒に歩くことがありました。泊まるところが違ったので相前後して歩いていました。
あとの2人は神戸から車で来られたご夫婦でした。ここ、宿坊とはいえ精進料理ではなくしっかりした食事で、高知名物「鰹のたたき」もいただきました。
風呂に入り、洗濯して乾燥機をかけて明日の準備をして就寝しました。まだ8時過ぎです。ではお休み。
歩行距離:23.2キロ 所要時間:7時間16分