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        2つの演奏会で学んだこと     貴志清一


 コロナ禍もしばし落ち着いたかのように思われます。ぽつんぽつんと尺八を吹く機会も出て参りました。
 先月2022年6月27日によく知っている小学校の校長先生から琴・尺八の音楽鑑賞演奏の依頼があり喜んで出かけていきました。
 例年にない異例の暑さで群馬県では40℃に近づく勢いでした。
 当然大阪も暑いわけで手弁当のボランティアをお引き受けいただいた琴の先生も汗だくになって会場に着きました。
 さすがに現在、教室に冷房が完備されていますので演奏は気持ちよくできました。
 お琴の先生は難曲の「雨の水前寺」まで弾いていただき尺八も吹き甲斐がありました。
 

4年、5年、6年生と3時間ぶっ続けで演奏しましたの疲れましたが、こどもたちは大変興味を持って聞いていたので嬉しかったです。
 「竹田の子守歌」「さくらさくら」「春の海」と進めて「雨の水前寺」。
 この曲はのんびりした水前寺公園という日本の大きな庭を巡り歩いていると俄に風混じりの大雨になり、
 やがて雨も上がり晴れ間が見え雨に濡れた木々の葉の先からコロコロと水玉が落ちる情景ですと説明しました。
 後で頂いたこどもたちの感想文に「(自分が)雨の音につつまれている感じがしました」というのがあり、
 大人では考えられない"体で音楽を聞いている"子どももいることがわかり勉強になりました。
 また尺八・琴の印象として「(自分が)まるで昔の世界にきているよう」に感じた子もいました。
 5年生ですからまだ生まれてたった11年。それでも尺八・琴の音色によって「昔」を感じられる、その感性の鋭さには驚きました。
 尺八も昔の古くさい楽器だから、所詮、小学生なんかには理解不可能という荒っぽい考えは全くの間違いだということも、再認識できました。
 かえって演奏した私の方が良い勉強をさせてもらったようです。
 演奏の最後は教科書にもある「翼をください」を十七絃・尺八で演奏しました。
 さすがに知っている曲でマスクをした子どもたちも歌って楽しんでいました。
 4年生はまだ幼さを残しているようで、歌に合わせて踊り出し私が「前に来て踊って」と言いますと
 2,3人わらわらと出てきて所謂「ノリノリ」で盛り上がって終わりました。有意義な学校公演でした。
 当日の様子は当小学校のHPにも紹介されています。
https://www.kaizuka.ed.jp/tuda-el/

 その10日ほどあと私主催の演奏会が7/10にありました。特に第2部では「懐かしのホークソング集」としてギター・十七弦・尺八で演奏。
 これも会場の皆さんと一緒に歌っていただきました。どういうわけか尺八の音色は「演歌」だけではなく、日本語の歌に良く合うということを再認識しました。
 「精霊流し」などは日本音階では無く、まったくヨーロッパの音階を基にしているようですが作曲者の天分でしょうか、
 無理なく「日本の歌」として安心して聴けます。
 音程さえ気をつければ西洋のハーモニーに尺八演奏を重ねても全く違和感がないことを、これも再認識した次第です。 
 ただし、その場合、ハーモニーを綺麗に保つためにやはり尺八もそれなりに安定した音出しが必要で、そのことも良い勉強になりました。
 参考音源として「精霊流し」をお聴きください。
https://comuso.sakuraweb.com/music/460-1.mp3