四国尺八遍路パート2 Vol,9 土井通有
○第9日(2022年5月24日)徳島県阿南市〜美波町
早朝、宿の近くの轟神社を散歩しました。
境内には樹齢七百年以上の大クスノキが群生しており、県の天然記念物に指定されています。
荘厳な雰囲気に朝の引きしまった空気が心地よかったです。
朝食をいただき支度をして忘れ物がないかを確かめて出発しました。
遍路では金剛杖を良く忘れるのです。杖は部屋まで持ち込めるところと、玄関に立てかけるところが有り、
私を含め忘れた人が宿舎に残していくことが多いのです。
私は、かなり先から取りに戻ったことがあります。
昔、金剛杖は遍路で行き倒れたときに墓標として立てたという言い伝えがあります。
それほど大切なものなのです。
(写真①民宿パンダ屋)
パンダ屋を7時に出て、40分ほどで月夜御水大師(つきよおみずだいし)につき、お祈りをして先を急ぎました。
今日は、日和佐(美波町)の薬王寺まで巡拝し、そこから電車で徳島市に戻り、高速バスにて帰阪する予定です。
徳島県の一国打ちは、道のりとしては高知県境まで約30キロ先の海陽町まであります。
しかし次の機会に来るときに列車などの交通の便を考えるとここまでにするのがよいと考え、今回は23番薬王寺で打ち止めとします。
(写真②月夜御水大師)
国道55線に出て約15キロの道のりを歩きます。国道は峠のトンネルがいくつかあり、あとは川沿いを歩きます。
所々には休憩所があって足を休める事ができます。
日和佐までの道は国道を行く方法と、海辺の由岐の浜をたどり海岸を行く2つがあります。
今回は国道を選びました。
前回歩いたときは海岸を行き、見晴らしもよかったのですが山道も多く大変でした。
さて今回歩いた国道ですが、平行して高速道路ができており、下の国道は交通量が限られいて少ないので危険も少なくゆったりと歩けました。
遍路道では特に怖いのはトンネルです。
狭いトンネルでは歩道もなく、車とすれ違いではとても怖い思いをするのです。
私はリュックに反射板のある襷をつけています。(襷は前回にお接待でいただいたもの)
飲料水を途中の自販機で1本、コンビニで1本を買って水分を補給しました。
3時間余りかけて15キロの道を歩ききりました。
天気もよく汗もかいたのでいつもよりものどが渇きました。
途中で適度にコンビニなどあり助かりました。昨日は山の中で補給できなかった事を考えるととてもよかったです。
12時前には第二十三番薬王寺(本尊:厄除薬師如来)を参拝することができました。
ここの寺号は無量寿院医王山といわれ、無限の生命を伝え、医の王であるという意味です。
高野山真言宗の別格本山とされ、再建のおりに仁助親王が落慶の法莚(ほうえん)に入られたそうです。
(写真③薬王寺喩祇塔)
厄除けの階段(男坂、女坂とがある)を登って参拝をし、尺八を献奏して下山しました。
薬王寺山門の前にある巡拝用具を扱う土産店で金剛杖を見つけて、私の持つ杖と長さを比べると5センチほど私のものが短くなっていました。
思えば前回の巡拝のときこの店で今の杖を購入したのです。
遍路1200キロを歩くと木の杖も削れて短くなります。
結願の頃には、先がささくれて花が咲くとも言われます。
足が痛いときの頼りに、また草むらを行くときなどには蛇などの危険から守られます。
また最後には墓標となることもあります。
日和佐の駅から12:40発の徳島行きの電車に乗り1時間30分ほどで徳島駅に到着しました。
昼もかなりすぎていましたので、駅前のラーメン屋で昼食を取り、前回4月にも行った「眉山の湯」に入って疲れをとりました。
今回はこまめに休憩を取って、汗をかいたときは靴を脱ぎ足を乾かしたおかげでほとんど水ぶくれも作らず無事でした。
15時45分の高速バスに乗り大阪に向けて車上の人になりました。17:40に大阪JR難波(湊町バスターミナル)に到着。
次回は土佐の巡礼を計画します。それに備えて体力をつけるようにしたいと思います。
歩行距離:23キロ 所要時間:4時間50分