四国尺八遍路パート２　Vol,８　　　　　　　　　　　　土井通有

○第８日（2022年5月２３日）徳島県勝浦町〜阿南市
　ふれあいの里さかもとの朝、心地よく目覚め朝食をいただきました。
昨夜の自転車遍路の方は慈眼寺を参拝してからできるだけ先までを巡拝し、
今日列車にて徳島市に戻るようなのです。
それでどこかの札所で会えること願って分かれました。
7時にふれあいの里より車で「横瀬」の鶴林寺登り口まで宿の車にて送っていただきました。
横瀬までは単純に来た道を戻るので、お接待で送迎サービスを利用しました。
　すぐに急な登りになり、樹林帯の中をあえぎながら2.3キロ登ります。
約１時間で第二十番鶴林寺（本尊：地蔵菩薩）に到着しました。
巡拝作法どおり本堂、大師堂にそれぞれ般若心経をとなえてから社務所で御朱印をいただきました。
朱印帳は前回巡拝したときと同じ帳面で、重ね印を押してもらうのです。
今回でつごう三回目になります。一回目はバスツアーで、二回目は歩き遍路で巡拝しました。
いつものように今日の打ち始めとして尺八の吹奏をお堂の前でしました。
（写真①鶴林寺）


　鶴林寺から急な下り坂を阿南市水井町まで400メートルほど行きます。
ここには大井休憩所がありしばらく休憩を取って、靴を脱いでリラックスしました。
出発して直ぐ那賀川にかかる立派な橋を渡り、支流の若杉川沿いに太龍寺を目指します。
少し登ると看板に「若杉山辰砂採掘遺跡」と書いてありました。
それによると弥生時代から古墳時代の遺跡であるとされていました。
今でも石積みの遺構があります。辰砂は水銀朱のもとになります。
このあたりから少し急な登りになり、第二十一番太龍寺（本尊：虚空蔵菩薩）に向かいます。
１時間たらずで登り切りました。この寺の南の太龍寺山には舎心ヶ嶽という岩峰があります。
ここで空海が修行したと伝えられます。本堂でお経を上げていると昨夜同宿した自転車遍路の方に会いました。
ここで会えるとは・・、彼はロープウエーに自転車を乗せてやってきたのです。
このあとは平等寺に参拝して新野駅（あらたの駅）から戻るとのことです。
日和佐の薬王寺までは時間的に無理があるとのことです。またいつか縁があったらお会いすることでしょう。
さて私は、舎心ヶ嶽（標高500メートル）の空海像を拝むべくロープウエー駅を過ぎてしばらく登りました。
（写真②太龍寺）

（写真③舎心ヶ嶽の大師像）


　話は少し横道にそれますが、弘法大師の足跡には水銀に関わるところが多いのです。
鶴林寺と太龍寺の間の若杉山辰砂遺跡、和歌山の高野山の麓の丹生川、丹生都比売神社、丹生とは辰砂のとれる土地のことです。
また仏像に金を塗布するためには水銀に溶かして塗ることがこの頃の手法なのです。
空海は水銀を探すために四国を修行して歩き、全国各地を巡ったのではないでしょうか。（私見）
　舎心ヶ嶽から那賀町わじきまでは「いわや遍路道」から「平等寺遍路道」をたどり1時間半ほどでかけて下りました。
最後の下りは崖を思わせるほどの急な坂でした。ここは普通の道より短く、昔の遍路道を復活したものです。
この道を紹介されたのは今日の宿のパンダ屋のご主人で、午前中電話で宿泊予約をしたおりに紹介されました。
那賀町わじきの道の駅からすぐ東側は、阿南市阿瀬比になっており、遍路休憩所があってそこで４回目の休憩を取りました。
近くの自販機でお茶を買って出発しました。あと5キロで平等寺です。
道は大根峠（標高250メートル）を越えます。ここで遅くなったのですが昼食のおにぎりを食べました（午後2時半）。
あとはだらだらと下り田園地帯を行くと第二十二番平等寺（本尊：薬師如来）です。3時過ぎに到着して参拝しました。
それから今日の打ち止めの尺八を大師堂の脇で吹奏しました。
参拝に来ていたご婦人から良いのを聞かせていただきありがとうと言っていただきました。
（写真④平等寺）


　その後今日の宿パンダ屋に向かいました。途中で道が分からなくなり電話をしました。
すると神社の中を通り、そのすぐ右手だということなのです。数分ほどで到着（午後4時）フレンドリーなご主人に迎えていただきました。
すぐに風呂を沸かしていただき入浴しました。
今日も宿泊は一人なのですぐにでも夕食ができるとのこと、
しかし1時間半ほど前におそい昼食とったばかりなので、食事は午後6時にしていただきました。
ご主人といろいろ話をし、遍路情報を伺いながら楽しく食事ができました。
遍路ではこの四方山話がまた楽しい思い出になります。
夕食はかなりのボリュームがあって満腹になりました。
部屋に戻りテレビもありましたが、尺八の練習をしてからベッドに潜り込み明日に備えました。明日も5時起きです。

　歩行距離：24.7キロ　　　　　　所要時間：5時間55分