四国尺八遍路パート２　Vol,７　　　　　　　　　　　　土井通有

○第７日（2022年5月2２日）徳島県勝浦町

　昨夜は広い部屋にゆったりと眠ることができました。
この宿は、小松島市と阿南市と勝浦町の３つが境を接する所に有り、阿南市羽ノ浦町に位置します。
　「お遍路ハウスにしむら」は“お遍路ハウス８８”という宿のグループに属しており、
基本的にその日の午前中までの予約制です。（ほとんどがメール予約です）
簡易宿で、素泊まりを基本にして格安の宿泊料で営業しているグループです。
コロナ前には外国人遍路が良く利用していたようです。
案内のパンフレットも英語表記がされています。

（写真①お遍路ハウスにしむら）


　宿のある阿南市から歩いてすぐに小松島市に入り、5分も行かないうちに勝浦町に行き着きます。
朝、コーヒーをいただき、おにぎりの接待を受けて午前7時には出発しました。
小さな峠を越えて30分ほどで勝浦町の入り口にあるコンビニに着きました。
今日の行程は山道を含め長丁場と言うことも考えて、アルカリイオン飲料を買い
少し歩いて道の駅「ひなの里かつうら」にある遍路休憩所で休みを取りました。
　前回、足にまめや水ぶくれができたりしたのは、靴の中で足が蒸れて皮がふやけたことによることが大きい思いました。
それでこまめに休憩し、靴を脱いで足を乾燥させることにしました。
10分ほど休憩してから出発して、すぐに先ほど通った沼江大師にて電話予約しておいた今日の宿の「ふれあいの里さかもと」からの電話を受けました。
それによると、今日の目的の別格二十霊場の第三番慈眼寺に行く途中、宿に一度寄ってほしいとのこと、
重い荷物を預けて詳しい慈眼寺までの地図をいただけるとのことです。
ひなの里から宿まで6.5キロ余り、遍路道（ほぼ県道）をひたすら歩きました。
10時過ぎに到着して退屈なのも有り、少し疲れました。

（写真②道しるべ・リュック）


　荷物を宿に預け、小さなリュックを借りてお接待のおにぎり、ペットボトル、カメラ、巡拝用具を背負って10時半に出発しました。
出がけに宿の方から詳しい地図で道筋を説明していただきました。
少し迷うところもあるようで注意が必要なのです。
宿を出て少し行くと山道に入ります。
道も険しくなり別格への道ということで、道しるべの標識も少なくやはり気をつけなければなりません。
慈眼寺までは約4キロほど、途中で鶏舎の下を通りやがて広域農道に出て、再び山道に入り、
少し行くと唯一の休憩小屋（宿泊もできるが少し荒れていました）を過ぎ、舗装道路に出てここから慈眼寺までは緩やかに登ります。
宿の「さかもと」から1時間15分で到着しました。
社務所と大師堂が有りここでまずお経を上げ、本堂はさらに500メートルほど急な山道を登ったところにあります。
息を切らせて参拝しました。
本来ここには修行の場として「穴禅定」があり、お寺の先達に従い修行の洞窟くぐりができるのです。
しかしコロナの関係で休止しているとのことです。
社務所まで戻り、今日の打ち始めに尺八を吹奏して奉納しました。
　別格三番慈眼寺（本尊：十一面観世菩薩）は山の中腹の見晴らしのよいところに有ります。

（写真③慈眼寺本堂)



（写真④大師堂の前にて尺八吹奏）


昼食は昨夜の宿でいただいたおにぎりを景色を見ながら美味しくいただきました。
一息入れて今日の宿「さかもと」にむけて来た道を戻ることにしました。
帰るときに所々道が分かりにくいところがあるので気をつけて戻ります。
おおむね下りなので約1時間で宿に着きました。宿でもらった分かりやすい地図が大変役立ちました。
　到着するとすでに風呂が沸いていました。それで午後2時には湯船で疲れをとることができました。

（写真⑤ふれあいの里さかもと）


　この宿、元は小学校で、２０年ほど前に廃校になったあと地域振興もかねて宿泊所に生まれ変わりました。
部屋の名称に「校長室」や「図書室」というのがあります。
何か懐かしさを感じます。夕食前に元グランドで尺八を心地よく吹くことができました。
　午後６時には夕食をいただき、ここで同宿のお遍路さんに会いました。
この方は自転車で廻っているとのこと、明日慈眼寺と鶴林寺、太龍寺それから平等寺を回るとのこと、
慈眼寺へは歩くときは山道を行きますが、自転車では少し遠回りになり特に上り坂が多いので大変そうです。
鶴林寺も山の上、太龍寺は山の上ですがロープウエーがあるので行きやすいようです。
さらにできたら二十三番薬王寺まで行けないか考えているようです。こんな具合にいろいろ情報交換をしました。
私は、明日平等寺までと考えているので長距離の山道なのです。それで今日は早めに就寝しました。

　歩行距離：27.5キロ　　　　　　所要時間：５時間40分