尺八吹奏研究会メニューに戻る

四国尺八遍路旅メニューに戻る

四国尺八遍路パート2 Vol,4            土井通有

○第4日

 今日も早朝5時に起き、身支度をして朝食をいただきました。
植村旅館の朝食もボリュウムたっぷりです。栄養をつけて頑張りましょうということでしょう。
二代の女将が引き継ぐ昔ながらの遍路宿です。ゆっくりとくつろげました。
おもてなしに感謝して7時にY氏と共に出発しました。
(写真①植村旅館)


 私は次の大日寺に行く前に別格2番童学寺にお参りする予定なので、
鮎喰川(あくいがわ)沿いに広野橋までの1時間あまり一緒に歩きました。
私は昨夜手入れした足の指がまだ痛み、少しぎこちなく歩き始めました。
川沿いに県道を徳島市に向かって長閑な道を下って行きました。
途中ですれ違いの車が止まり、ペットボトルのお茶とおにぎりを接待していただきました。
やがてY氏は右手の橋を渡り、私はまっすぐ県道を進み、ここでお別れをしました。本当に良い一期一会でした。
 さらにトンネルを潜り、約5キロで童学寺(本尊:薬師如来)に到着しました。
このお寺は、大師が幼少の頃学問修行され「いろは歌」を創作されたということです。
お筆の加持水もあり書道を学ぶ人の信仰を集めています。
納経をしてから足も痛むので速く歩けないため先を急ぎ出発しました。
(写真②童学堂山門)


 同じ道を「打ち戻り」して5キロほど歩き、鮎喰川を渡り休憩所のベンチでで一休みしましたが、
残念ながら小屋中はコロナのためか閉鎖していました。しばらく行くと十三番大日寺に到着しました。
このお寺は昔阿波国一の宮神社にあった札所です。開基は弘法大師で、大師が大日如来を彫みました。
(現在の本尊:十一面観音菩薩)。

戦国時代の兵火にあったが蜂須賀氏によって再建されました。
つまり、すぐ向かいには阿波国一宮神社があります。
お経をあげ納経所で朱印をいただいて尺八吹奏をしました。
ここで初日の安楽寺宿坊で同宿したK氏(島根県出雲在住のアメリカ人)が聞いていて「いいですね」と褒めていただきました。
(写真③大日寺:写真④阿波国一宮神社)




 支度をして、12時40分過ぎに寺を出ました。
この辺りに来ると平地なので集落もあり道がいくつもあって迷ってしまいます。
通りがかりの人が丁寧に道を教えてくださいました。
また少し行くと今度は女の方が車で通りがかり、わざわざ止めて駄菓子と飴の袋詰めをお接待していただきました。
どうやら遍路道を通る遍路さんのためにいつも用意しているようなのです。
「接待」の文化が根付いているのです。
 少し行くと先ほどのK氏が別の道からやってきました。
私たちは日本語と時々英単語を入れて話ました。
K氏はかなり日本語できて、何かと話しながら歩きました。
彼は、日本の歴史に詳しく特に出雲神話などにも精通しているようでした。
大日寺と一宮神社が昔は一緒で、「神仏習合」ということも良く知っておられました。

ただ日本に来て、小泉八雲のゆかりの話を必ず日本人から言われるようで
(彼はボストン生まれの細面であった)それがちょっと鬱陶しいようでした。
(K氏によると、ラフカディオ・ハーンの名前は、生まれたギリシャ・イオニア諸島の島の名前からつけられたそうです。)
 K氏と共に歩き、2.5キロで十四番常楽寺(本尊:弥勒菩薩)に到着、
さらに1キロあまりで十五番国分寺(本尊:薬師如来)ここは聖武天皇勅命で造営された官立寺院です。
十六番観音寺(本尊:千手観世音菩薩)までは1.7キロで到着しました。
順調に巡拝して、次の十七番井戸寺(本尊:七仏薬師如来)までは2.8キロで少し距離があります。
この辺りに来るとJR徳島線の踏切を渡り、住宅街の中を遍路標識を見ながら行くのですが、迷ってしまいます。
K氏がスマホを見ながら右へ左へと支持していただき、あと何キロなど言いながら和気あいあい遍路ができました。
本当はかなり足が痛かったのですが、会話しているので気が紛れてどんどん進むことができました。
これも一期一会です。
 井戸寺は主尊の薬師如来は聖徳太子の作と伝わります。
また大師が水不足に悩む村のために、錫杖で井戸を掘ったところ一夜にして清水が湧き出したということで、
お寺の名前も井戸寺となりました。
今も境内には井戸があり、覗き込んで姿が映れば無病息災、映らなかったら3年以内の厄災に注意すること。
またこの井戸水も分けてもらえます。
(写真⑤井戸寺本堂)


 私は、この寺の通夜堂にて今宵一夜を明かすことにしました。
社務所で許しを得て通夜堂に荷物を運び、寝袋を出しておきました。
(通夜堂は、2畳ほどのプレハブ小屋です。)ここでK氏と別れました。
彼は徳島市内まであと5キロほど歩き、ビジネスホテルで止まるそうです。
夜は日本酒の飲めるところで食事をすることを楽しみにしておられました。
そして明日は一日休日をとるそうです。ゆとりのある計画です。
日本人にはあまりない発想なのです。
(写真⑥井戸寺大師堂、左のプレハブは通夜堂)


 私は納経してから、今日最後の寺なので打ち止めの尺八を吹奏しました。
朱塗りの本堂、大師堂に感じ入りながら吹きました。
夕食は、近くのコンビニで弁当を購入して早めの食事をとり、足のケアをして就寝しました。

 歩行距離:30.5キロ     所要時間:7時間55分