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四国尺八遍路パート2 Vol,3            土井通有

○第3日
 旅館吉野は、12番焼山寺への道に向かう前日の宿として多くの遍路に利用されています。
特に歩き遍路の人が多く、情報交換も行われます。
11番藤井寺の本堂の脇から「遍路ころがし」と言われている山道が始まります。
ここから約12キロあまりアップダウンを繰り返す山道が続きます。
いちばん標高の高い浄蓮庵は745メートルあります。
11番の藤井寺が200メートルほどですので、約500メートルをアップダウン繰り返して焼山寺(700メートル)まで登ります。
もちろん山道なので足元も悪いので、先にあげたように「遍路ころがし」と言います。
阿波の道は「発心の道場」と言われます。
ここは遍路に臨む者の覚悟を正しているようです。
(写真①藤井寺本堂 写真②遍路道)




 私は、Y氏ともう一人の方との3人で遍路ころがしに入って行きました。
それぞれのペースで行くので少し先に行き、ちょっと休憩するうちに後続が来る。
このようにしながら、長戸庵・柳水庵・浄蓮庵と辿り、約5時間半で焼山寺までなんとかたどり着きました。
ただ納経所で聞くとこのペースは結構早かったようです。
(写真③山道からの見晴らし 写真④柳水庵の桜)




 焼山寺ではいつものように本堂と大師堂で読経しました。
今日、最初のお寺なので尺八を吹奏しました。
焼山寺は山の上にあるので空気も澄み清涼な感じがし、尺八の音色もよく響いたように思いました。
そののち納経所で朱印をいただき、昼食をとることにしました。昼食はおにぎり弁当です。
宿を出る時にいただいたもので、かなりのボリュウムがありました。
これは山道で体力の消耗が激しいと考え、大き目を持たせてくれたと思います。
旅館吉野に感謝です。(写真⑤焼山寺本堂)


 食事後12時半過ぎに焼山寺を3人で出発しました。ここからは鍋岩まで3.4キロ下ります。
途中に杖杉庵(じょうしんあん)といううのがあります。ここは衞門三郎の霊を祀るところです。
この人は現世の所行を悔い改め四国遍路に一生を捧げ、この地で果てたそうです。
(詳しい所以は四国八十八札所の物語を参照)
(写真⑥杖杉庵の衛門三郎と弘法大師像)


 今日は、鍋岩からさらに玉ケ峠(455メートル)を超える5.5キロの道のりを植村旅館に向かいました。
3人のうち女の方一人はここで別れ、神山温泉方面に向かいました。
私とY氏はここから上り約200メートルの峠に向かいました。
ここもかなり急峻で特に遍路ころがしを超えてきて、体力も消耗しているのでかなり辛いものがありました。
喘ぎながら峠を登りあとは道なりに緩やかに下るだけだったのですが、かなり距離が長く同じような景色(見晴らしは良いのですが)で退屈、さらに疲れが増しました。ようやく目的の植村旅館に到着し、暖かくおかみさんに迎えていただきました。
ああ、ホッとしました。そして足が水ぶくれで痛い。
 風呂をいただき、汗をかいた服を洗濯していただきました。(お接待です。)
夕食は今日の泊まり4名で揃っていただきました。
宿泊の4人のうちY氏ともう一人の男性はたまたま同郷の人でした。
そして遍路についていろいろ情報を交換し、楽しいひと時を過ごして明日の出発に備え早めに床につきました。
もちろん私は、足のケアをしっかりとしたのでした。

 歩行距離:23.1キロ    所要時間:9時間36分