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四国尺八遍路パート2             土井通有

○第1日

 この度私は、再び四国遍路に出ることにしました。
 2020年の秋に四国八十八ヶ所の遍路を結願し、コロナ禍もあり一息入れていました。
しかし歩き遍路をもう一度経験したいという思いがまた湧いてきました。
特に、尺八を吹きながらコツコツ遍路道をめぐりたい。
そんな考えが頭にうかんで離れなくなったのです。
そんな訳で蔓延防止の解除を待って行くことにしました。

 出発は、2022年4月5日(火)に決めました。
早朝6時55分大阪難波発の高速バスに乗り、鳴門西に着いたのは9時過ぎでした。
バス停から歩いて一番札所の霊山寺には15分くらいで着きました。
この時バス停に降りたのは私を含め3人、いずれも遍路姿の男性でした。
 私はまずお寺の売店で納め札と遍路地図を購入してから本堂に向かいました
。薄暗いお堂の中に入り、開経偈に続き般若心経などの読経を済ませ、次に大師堂に移って同様にお経をあげました。
そしてリュックサックから尺八をとり出し、本堂の脇で「手向(たむけ)」一管を奉納しました。
これからは、札所の打ち始めか打ち止めに尺八を吹奏しようと考えています
。お寺ごとに奉納したいのですが歩き遍路のためできるだけ先を急ぎたいので時間短縮を図りました。
お寺での吹奏は尺八の音がお堂の屋根に反響して少し上手くなったような気がします。(思い込みかも知れません。)

(写真①:霊山寺多宝塔)


 この日はこれから六番安楽寺の宿坊まで歩きます。
山門を出て2番札所に向かって歩き出しました。
遍路道は普通の舗装道路もありますが、昔の遍路道では地道になっているところもあります。
なおこの霊山寺は、聖武天皇の勅願により行基菩薩が開基し、
その後弘法大師が八十八の煩悩の数にちなみ霊場を開いたおりこの寺を霊場一番と定め、釈迦如来を本尊としました。
 四国遍路はここより右回りに阿波・土佐・伊予・讃岐へと順に巡ります。
四国遍路には88ヶ所以外に別格二十霊場があり、合わせて108ヶ寺を回るというのがあります。
今回私は、これに習い別格20ヶ寺も合わせて回ろうと考えています。
 一番札所から五番札所まではそれぞれ2キロから5キロの範囲で参拝できます。
街道を二番極楽寺(本尊:阿弥陀如来)、三番金泉寺(本尊:釈迦如来)、四番大日寺(本尊:大日如来)と順調にめぐり、
読経して納経帳に御朱印をいただきました。
この道は撫養街道といい吉野川の左岸を東西につないでいます。
街道沿いにあるコンビニで2時過ぎに少し遅めの昼食をとりました。
続いて、桜が満開の五番地蔵寺(本尊:延命地蔵)に到着したのは3時ごろでした。
ここから別格一番の大山寺に向かいました。
この寺は、名前の通り大山の中腹にあり街道から離れて山道をひたすら登ります。
車の道もありますが遍路道は山道で所々に「猪のヌタ場」や「狸の溜め糞」などがあるけっこうワイルドな道でした。
大山寺(本尊:千手観音)は閑静な山寺です。着いたのは4時前でした。
さて次の六番安楽寺(本尊:薬師如来)には5時には到着する様に言われていたので、山を下った所で遅れることを電話で伝えました。
電話では、快く応対して受け入れていただきました。

(写真②:桜の地蔵寺、写真③:大山寺山門)






 急いで安楽寺に向かっていると、少し道を間違えているように思い、地図を確認していたら、地元の農家のおじさんが
軽トラを止めて「安楽寺への道は間違っているよ」と言って説明してもらっているうちに車に乗せてくれる事になりました。
おじさんの家よりすこし先、安楽寺のすぐ近くの別れ道まで送っていただきました。
おかげで5時15分には宿坊に到着しました。お接待の文化です。ありがたい事を感謝しました。
安楽寺では、夕食後には観行があり、これに参加することが宿坊の慣いです。
良い機会と思い、父母の戒名を書いて回向をしていただきました。
風呂に入り、洗濯をし、足のケアをしてから9時前には就寝しました。

(写真④:安楽寺山門)


 歩行距離:25.8キロ 所要時間8時間6分