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短簫(タンソ)と尺八➀-ここまで似ている音色の好み-    貴志清一

 明けまして おめでとう ございます
 本年も尺八吹奏研究会を どうか宜しくお願い申し上げます。

 さて、短簫(タンソ)という楽器をご存じでしょうか。尺八によく似た朝鮮の伝統楽器です。
韓国の小学校では音楽科の授業で児童が使っているところもあるそうです。
ですので日本のリコーダーと同じくプラスチック製のタンソも大量生産されています。
 10年程前になりますがふと耳にした短簫の音があまりにも尺八に似ていましたので、
笛なら何でもかんでも吹いて見ないと我慢できない私ですので、高(コウ)さんという方に頼んで韓国より入手しました。

 (「尺八と短簫」)


 実際にタンソを手にしてみますと、吹き口は小さいですがほんの少し息を当てる所を前方にすると尺八と同じように発音ができました。
中国の伝統楽器の柔らかい音色の洞簫(トンシャオ)よりも日本の尺八に近いハスキーな音色なのです。
「短」い洞「簫」で短簫(タンソ)なのですが音色は尺八。
そして小節(こぶし)を回す奏法が何とも尺八っぽくビブラートはたてユリの激しいものです。
 言葉の説明より、まず尺八と短簫の音色を聴いてみて下さい。
 音源は私の2021年の吹き初め曲「夕暮の曲」と李・斗遠(イ・トぅオン)というタンソの名人が吹く「清聲曲」です。

(音源「夕暮の曲」)
https://comuso.sakuraweb.com/music/435-2.MP3

(音源「清聲曲」)
https://comuso.sakuraweb.com/music/435-3.MP3


 ご感想はいかがでしょうか?
 もちろん文化の違いがありますので当然そっくりそのまま同じ感覚の音楽ではありません。
しかし、艶やかなビロードのような雑音のない、そして100人のオーケストラの中でも音が客席の後ろまで
飛んで行く西洋のフルートに比べると短簫の方が遙かに尺八に近いのではないでしょうか。
 タンソの写真を見ますと細いながらも七節の竹でできています。
改めて朝鮮と日本の「近さ」を実感させられるのが短簫(タンソ)だと思います。
 次回は「短簫と尺八②-ここまで似ている一節切と短簫(タンソ)-」の予定です。