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「四国尺八遍路あれこれ⑥」(日記)  土井通有    *讃岐平野彷徨* 

 10月5日(月)百百家旅館の朝、いつものように5時に目覚ましが鳴り、起床。
朝食をいただき、出発の準備をする。昨晩同宿した方は、遠方の北海道からの巡礼で、二度目の巡拝だそうです。
私も一回目はバスツアーでまわり、今回が二度目、これが初めての歩き遍路です。
北海道のSさんは、十数年前、逆打ちで一回目を歩かれたそうです。かなり大変だったようです。
以前に書いたように、道標のほとんどが順打ちを基準にしています。
赤い矢印のシールが一番多くあり、あっちこっちに貼られております。曲がり角の手前などにあって大変助かります。
これが逆打ちになると曲がってからの確認ということになります。それだけわかりにくいのです。
 昨晩食事をとりながら情報交換をしていると、行程が同じようなので、次の宿も同じ所になりそうなのです。
普段私は、少し歩いて様子をみてから、午前中に携帯で予約を入れることにしています。
 今日は、まず83番一宮寺をめざし、讃岐平野の田園地帯を歩きます。6時半に出発、道標に従って歩きます。
特に街角や里の道を歩くときには赤い矢印シールが重宝します。道がいくつもあり、迷うことが多いのです。
昔ながらの遍路道をたどるので、思わぬ路地を歩くこともあります。
 さて、しばらく歩くと村の神社があり、朝早くからお参りする人と挨拶を交わし赤い矢印シールを探していると、雲ゆきが悪くなり突然雨が降ってきました。
屋根のあるところに避難して、カッパを着てまた歩き始めました。ちょっと憂鬱です。
 雨の中をしばらく歩くと高松自動車道の高架下をくぐり、立派な神社の境内を抜け、30分ほど歩くと、地図上では一宮寺がこの辺りと思えるのですが、見当たりません。
通学時間帯なので、高松南高校の生徒さんがたくさん登校してきます。しばらく行くと大きな鳥居の讃岐国一宮・田村神社に着きました。
神職の方が居られたので、一宮寺を訪ねると丁寧に教えてくださいました。
大まかに言えばすぐ隣(昔は同じ所、神仏習合)にあるのですが、少しわかりにくいのです。駐車場は道沿いにあり、その向かいが高校のようですが・・・。

(写真①)一宮寺


 さて今日の打ち始めに、尺八を一管奉納し、御朱印をいただきました。雨が上がったのでカッパを片付け、手際よくお参りを済ませました。
お寺を出る前に屋島駅近くのビジネスホテルを予約しました。30分ほど歩いてコンビニでのむヨーグルトを買い求めました。
ここ数日は、腹の調子を整えるため毎朝飲んでいるのでした。
 川沿いの遍路道を歩き、琴平電鉄の三条駅で線路を渡り、さらに川に沿って赤い矢印や石の道標を探しながら高松市内に向かって歩いて行きます。
詰田川にかかる大橋の手前で正午前になりました。ちょうどよくファミレス風のうどん屋があったので入りました。
ここのぶっかけうどんもなかなか美味しかったです。讃岐うどん最高です。
40分ほど歩くとビジネスホテルに着きましたが早すぎるので、84番屋島寺を先に打つことにしました。
 屋島は台地状の地形で、瀬戸内火山活動の溶岩などで形成され、硬質安山岩(サヌキトイド)が浸食されずに残ったものである。
つまり頂上は平らで、テーブルのような形をしています。というわけで、頂上台地まで行くためには険しい登りが待っています。
2キロほどを1時間余りかけて登りました。 屋島寺は、鑑真和上によって開創されたと伝えられます。
後に弘法大師が十一面千手観音像を彫造し本尊としました。また本堂の脇に簑山大明神社の鳥居があります。
ここは「屋島太三郎狸(通称、屋島の禿狸)」を祀っています。

(写真②屋島寺


写真③屋島寺の狸像


 ご存じのようにアニメ「平成狸合戦ぽんぽこ」に出てくる狸です。巡拝作法により納経し、お狸さんの隣で、尺八を奉納しました。
 足の調子がよくないので、あとは戻りの急な下り坂を金剛杖に頼りにしながらゆっくり下りました。
「屋島ロイヤルホテル」に到着したのは午後3時、チェックインは4時なのでロビーで待つことにしました。
ふと、ソファーを見ると北海道のSさんがにっこり笑ってこちらを見ていました。 本日の歩行距離27.6キロメートル