大甲の運指~「月見草の詩」の場合~
2020年4月12日(日)に貝塚市のコスモスシアター2Fにて小さなコンサートを開催させていただきます。
第1部は尺八本曲、そして2部は箏・尺八の合奏曲です。
この中で糸方の先生のご希望で宮田耕八朗作曲「月見草の詩」も演奏することになりました。
(月見草の詩の楽譜)
実際に演奏された方はご存じでしょうが、この曲に少々厳しい大甲がでてきます。
B♭(都山ハメリの大甲、琴古ヒメリの大甲)
A (甲チの大甲)
F (ツの大甲)は七孔尺八を使いますので楽です。
ここでFは楽にでるのですがB♭、Aは扱いにくい音です。
大甲運指については現在でも入手可能な山本邦山の名著『五線譜による尺八教則本』をいつも参照しますが、この本の運指表ではかなり強く吹かないとB♭、Aはでません。また出ても音程が不安定です。
そうすると結局自分で考えなければならなくなりました。
B♭は2,3孔閉じの運指で楽に出ます。
Aはどうしても安定した音が「でない」のです。
考えあぐねている内に「尺八はカザシ(翳し)」の技法があることに気付き、それならB♭の運指から第1孔をかざしてAを作り次の大甲レにつなげればいいとわかりました。
(大甲の運指)
実際の音で確認して下さい。
filename018
4/12のコンサートの下合わせが今月(2月)の24日にありますので間に合ってよかったなと思いました。
ただし、大甲に関しては高い技術を持つ製管師の竹でないとどうしょうもないということがあります。また地無し管では大甲のレすら発音ができません。幸い私は河野玉水(三代目)の優れた七孔一尺八寸管を吹いていますのでこういう記事が書けたのかも知れません。
因みに、コンサートのチラシは以下の通りです。関西方面の方でお時間がございましたらお気軽にお越しくださいますようお願いします。