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貴志清一尺八教室・秋季演奏会
2017年10月28日(土)は私の所の尺八教室の発表会でした。
入門料なし、免許状なし、縛りなしの、ないない尽くしの尺八教室ですが今年も無事に終えることができました。
今回も日本の伝統芸能にありがちな目をむくほどの会費ではなく、参加しやすいお月謝1ヶ月分程度の参加費で企画しました。
プロの尺八家ではとてもこうはいかないのですが流派から距離を置いた名もない片田舎の尺八吹きですから、こんなふうに好き勝手をしています。
発表会ですから各自の技倆上達もさることながら、生徒間同士の親睦会も重視しました。(この打ち上げの報告は省略)
それではプログラム順に当日をふり返ってみましょう。
第1部
1.「松巌軒鈴慕」尺八古典本曲
演奏は私がさせていただきました。その解説文は次の通りです。
「江戸時代、奥州花巻にあった松巌軒に伝わった虚無僧の修行の曲です。遠く江戸でも吹かれました。1オクターブにたった5つの音しかない単純な曲なのですが、こんなにも心の深い悲しみが表現できるというのは音楽における一つの奇跡ともいえます。」
これから教室生の一人吹きによる古典本曲演奏が続きます。
2.中京伝「三谷」尺八古典本曲
3.「鶴の巣籠」琴古流本曲
4.「夕暮の曲」琴古流本曲
5.「手向」古典本曲
6.「鹿の遠音」琴古流本曲
江戸時代、琴古流の秘曲だったものです。
〈奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の
声聞くときぞ 秋は悲しき〉
尺八一管で深山の秋の情景を描いています。演奏は私が担当しました。
7.「鳳叫虚空」明暗流古典本曲
この曲は紀州興国寺の法燈会のM氏が本会のために和歌山からおいでいただき演奏してもらいました。
8.「六段」八橋検校
尺八と琴の合奏。箏はS女史に演奏して頂きました。
-----(小休止)-----
9.「雨の水前寺」宮田耕八朗作曲
箏はS女史、尺八は私が吹かせていただきました。
10.「胡笳の歌」野村正峰作曲
1箏:S女史 2箏:M女史 尺八:貴志清一
この曲は異国情緒溢れる音楽でなかなか吹きごたえがあります。
プログラムに載せた解説は以下の通りです。
唐の玄宗皇帝が呂才という楽人に命じて作らせたのが尺八です。この昔の尺八は実際に残っていまして「古代尺八」として正倉院御物になっています。本日から始まる正倉院展では玉でできた「尺八」が展示されています。この唐の時代、西域の音楽が大流行しましてペルシャ系のソグド人、いわゆる胡人が吹いた吹奏楽器が「胡笳(こか)」です。音色は哀愁を帯びたものだったらしく唐詩の「胡笳の歌」に思いを馳せて作曲されています。
私の所の教室では、本曲・三曲・新曲・現代曲等だけでなく、誰もが尺八で吹いてみたい歌の曲も教えています。
ギターの素晴らしい伴奏はT氏がして下さいました。
11.「わたしの城下町」「花」
12.「また君に恋してる」「My Heart Will Go On」
13.「ジュピター」「コンドルは飛んで行く」
この2曲は貴志が担当しました。
最後に30名ほどの開場の皆さんと「琵琶湖周航の歌」を一緒に歌って2時間あまりの演奏会をつつがなく終わることができました。
1 われは湖(うみ)の子 さすらいの
旅にしあれば しみじみと
昇る狭霧(さぎり)や さざなみの
滋賀の都よ いざさらば
2 松は緑に 砂白き
雄松が里の 乙女子は
赤い椿の 森蔭に
はかない恋に 泣くとかや
3 波の間に間に 漂えば
赤い泊灯(とまりび) 懐(なつか)しみ
行方定めぬ 浪枕
今日は今津か 長浜か
4 瑠璃の花園 珊瑚の宮
古い伝えの 竹生島
仏の御手に 抱かれて
眠れ乙女子 安らけく