戻る
HP-No.328
尺八の国際化に尽くした名演奏家-神崎憲
神崎師の「松巌軒鈴慕」を聴く(音声資料)
貴志清一
1996年にスタートしました尺八吹奏研究会は、当初から神崎憲師に顧問をお願いし、以来20年の歳月が流れました。
2年前に脳梗塞で倒れられてから闘病生活を送っておられましたが、惜しくも昨年の2月に亡くなられました。本会のHP作成等、たいへんお世話になりました。
師の後半生は中国・台湾での尺八の普及活動を中心に、演奏家として、また教授者として多大の貢献をなされました。
若いときから宮田耕八朗氏に師事し現代曲を得意としておられましたが、尺八古典本曲にも心血を注ぎ研究を重ねられていらっしゃいました。 まだ60代の中半でこれから尺八の普及や研究の集大成に取りかかっていただけるのにと思っていた矢先だったので本当に残念でした。
尺八演奏とは直接関係のないものの中国語に堪能で北京語と広東語を自在に使い分けて話され、国際的な視野に立ったお話を伺うにつけ、身近に接した者にとっては良い勉強になりました。
尺八に関しては先輩でしたので有益な助言・お話などを聞かせていただいたのは懐かしい思い出です。同じ琴古流と言うことで演奏会でも何回か「鹿の遠音」を連管で吹奏したことがありました。
2014年4月3日に関西一節切研究会(と言っても3人)の紀州黒竹見学兼熊野古道花見の旅に合流していただきJR紀伊内原駅の近くの王子跡で「鹿の遠音」を一緒に吹奏しました。桜の満開の頃でやや日も傾く中で神さびた社の中で吹いた竹の響きは忘れられません。
その後も直ぐに中国・台湾への指導に出かけられたと思うのですが、たった4ヶ月後に病に倒れられました。誠に残念なことでした。
それでは神崎師の吹奏する「松巌軒鈴慕」をお聴き下さい。
ここでかんたんな神崎憲師のプロフィールを紹介いたします。
1973年:大阪外国語大学(現大阪大学外国語学部)卒業
在学中に都山流尺八の手ほどきを受ける。日本音楽集団の尺八奏者宮田耕八朗氏に師事、七孔尺八・篠笛を習う。
1996年より琴古流の三橋貴風師に尺八古典本曲と琴古流尺八を習う。1997年:バンブーネットワークを設立し、インターネットを通じて邦楽の普及、イベント・出前演奏などの活動を行う。
1999年から中国浙江省文化庁の要請で杭州蘇州で尺八講座開催。
以後、中国・台湾にて演奏・教授活動を積極的に行う。
2014年8月脳梗塞のため入院、闘病生活を送る。
2015年2月病没。